シークレットラブ
それから数分後、私の必死の抵抗も虚しく、車で運ばれて、ひとつの廃墟化したアパートにつれて来られた。
「わ、私をどうする気よっ」
目の前の椅子に座っている男を睨み付ける。
「だから言ったじゃない。これから君をめちゃくちゃにするの」
そっそれって私…
犯さ……れる?
「あ。犯す…まではしない……かも?
ま、それも君次第だけど」
………っ………
…こいつ…初めの時とかなりちがう…怖い、よっ…
手首を縛られて、身動きがとれない状況の中、あの男はケータイを取りだし、どこかに電話をかけ始めた。
『もしもし?壱也、俺覚えてる?澤田英。
君の大事な人、奪っちゃったからぁ〜早く来なきゃ、大変なことになるよ?』
所々、小さく壱也の声が聞こえてくる。
ほんの小さな声なのに…
さっきまで聞いてた声なのに…
すごく、その声が愛しく思う。
じわりと溢れ出してくる涙は知らないうちに床にポタポタと零れ落ちる。