私の中の眠れるワタシ

−−その時。

ふと湯舟のお湯が、水に変わっている事に気付く。


身体も冷えている、……寒い。


こんな時間まで、なかなか来ない颯生にも、勝手な事に、徐々に愛情が冷めていく思いだった。


今に始まった事ではないような気もする。

だって。
湯舟の周りに彼も、彼を感じさせる物も、ない。
ワタシの周りにあるのは。

生まれて来れなかった命と。

生まれてから、捨てた命だけ。



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