私の中の眠れるワタシ
先生に憧れる子は多い。
多感な時期だ。
先生の予備知識の中で、ワタシの告白は、それほどの衝撃を与えるものではない。わかっている。
まだだ。
ワタシは、焦らない。ゆっくり話して、ワタシの気持ちに同情してもらうのが先だと、何度もイメージトレーニングしてきた。
わざとゆっくり、一言ずつ噛み締めて話す。
「それで……。去年からずっと好きで……。だけど、先生と生徒だし、諦めようって何度も思って。先生からみれば、ワタシなんてまだ子供だし。
だけど、卒業までに、気持ちを伝えるだけでいいからって。
先生に、言ったんです……。」
まどろっこしい、自分で自分に毒づいた。
「そうか。それで、駄目だったんだな……。まあ、でも、おまえはこれからだろ!高校に行ったら、たくさん良い出会い、あるぞ!」
先生は、励まそうと一生懸命だ。自分の学生時代の恋と、重ねてみているのだろう。
冷めているだろうコーヒーを、一息で飲み干した。
「はい。ありがとうございます。でも……。」
まだ、ワタシの話が終わっていない事に、先生は立ち上がろうとした椅子を、座り直した。