私の中の眠れるワタシ

「もう、この話は忘れろ。な?先生に任せておけ。」

「え、どういう事ですか?」

わかってるくせに。
ワタシはちんぷんかんぷんなフリをする。

先生は、ワタシの肩を両手で掴み、

「もう、これは、お前だけの問題じゃないという事だ。
大丈夫。お前が私に話してくれたって事、誰にもばれないようにするから。安心しろ。」

ホントに、安心だ。
この先生は、いたいけな生徒の、ヒーローだ。

「先生、だけど、内緒にしてもらえませんか。
ワタシが泣いて、それだけで終わる話です。
いいんです。お願いです。先生、誰にも言わないで……。」

ヒーローには、悪を打ちのめす、熱い正義感を。
だけど、ワタシの気持ちがばれたら終わり。

また、ワタシが涙声で訴えると、それ以上に先生は興奮し、

「いいか、長崎。これはな、ある種犯罪だぞ。相手は未成年な上、生徒だ。これでもし、性行為まで働いていたら……。」


この想像は、正しい。

これで完全に、制裁を加える事に、どんな躊躇もなくなるだろう。

ワタシは、いよいよ、美月にも復讐するチャンスだ。

「先生。十五歳にもなれば、好きな人と、そういう事、してみたいって、思うと思います。
でも、それは、いけない事ですか?
ワタシだったら、断れません。
美月は、悪くありません!!」




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