私の中の眠れるワタシ

母は父がいない間、自分に子供を見張る役目があると常日頃言っていた。

父に対するプライドだろう。
父の単身赴任中に何かあった場合、自分の教育に落ち度があると思われたくないというのが、本音だ。

父に、付け込まれるような問題を家庭内で起こすまいと、必死だった。

その結果。

中学、高校と全くの放任だったにも関わらず、大学生になってから門限を作り、私の時間や友人関係を管理し始めた。

携帯の中のアドレスは全て控えられた。

毎日何度も電話が来て、帰りの時間を約束させる。

「わからない」

は、許さない。

仕方なしに、終電までには……と言うと、十時まで。ときっぱり言われる。

十時では、練習が終わる時間だ。

練習を一生懸命していた私は、練習時間を削るのだけは、譲れなかった。


そのため結局。
毎日説教になった。



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