私の中の眠れるワタシ
私はある意味、高校時代から『誘惑』について研究してきたようなものだ。
純愛とは、程遠い。
その人の心が本当はどこにあろうと、今この瞬間、私が欲しくなればそれでいい。
−−本気には私、どうせなれないから、ならないで。
それが相手に対するたった一つのワガママでもある。
三宅ちゃんに対しても、同じだった。
ただ、今この状況で、私にとっての隠れ家はどうしても必要だ。
しばらく、このまま彼女でいよう。
彼はとても、優しい人だ。
愛情につけこんで、利用してしまうのは、気のおけない男友達だった三宅ちゃんだからこそ、すまないけど。
今はこうするしかない。
毎晩、ワクワクしながらお風呂に入る彼を、少しだけ可愛く思うし……
歯磨きの時には、いつも鼻歌まじりで……
ついには、プレゼントだと言って、私の分のパジャマまで用意してくれた。
デートしようと誘われると、いつも100円ショップ。
お茶碗や、コップ、お皿と少しずつ私専用の物を増やしてくれた。
家具屋に行きたいと言うから付き合うと、将来はこんな家具に囲まれて一緒に暮らしたいと、私を真っ白な二人がけのソファに座らせた。