私の中の眠れるワタシ

疑惑




心のみならず、身体まで何度も重ねてしまったワタシとソウタは、文句なしの優勝だった。

ソウタの彼女とは、元々あまり話すほうではなかったが、優勝したのを見て

「おめでとう!そして、ありがとうね。大変だったでしょ?ソウタ、わがままだしね。」

と、声をかけてくれた。


ありがとうと言わなければならないのは、こちらのほうだ。

優勝までできた上、取引も成立して、私の部活人生は今後安泰だ。


イチヤだけはやはり、その勝利を心の底からは喜んではくれなかった。


それどころか最近、事あるごとに電話をかけてくる回数が増えた。

私が夜、遅くなる日がある事を気にしている。

「ね、蜜、今どこにいるの?」

いつもせつなげに、留守番電話にメッセージが吹き込まれていた。

ソウタとは、泊まる事はなかった。
彼も、彼女と半同棲の状態だったので、外泊はまずい。

私にとっても、そのほうが都合がよかった。



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