私の中の眠れるワタシ

篭の中の鳥




最近のイチヤとの夜は、苦痛だった。

あんなに明るくて、いつもケラケラ笑っていたイチヤが、もうワタシに以前と同じ表情で笑いかけてくる事は、なかった。


夜は、幾度となくワタシに好きだと言わせようとする。

「ス、スキだよ……スキだから……もう今日は許して」


彼は、許さなかった。

ワタシがいつも誰を見ていたとか、会話が誰と多かったとか、なんだって毎夜の罰になる。


「ごめんね、ごめんね、もうしないから……」



ワタシはふと、幼い頃の自分を思い出す。

何について謝っていたんだろう。
理由なんてなかった。
身体の痛みから、早く逃れたい。そのためだけ。


今も。
イチヤに何を責められているのか。
許されてどうなりたいの。

ただ、このワタシの上にある重力から逃れたい。

キモチいいなんて、段々思えなくなっているのに、言葉はワタシの口から離れた瞬間、イチヤをきちんと最後まで導こうとしていた。


「イイ……そのまま、一緒にイッて……」


彼の身体から、ワタシに降り注ぐのは、涙なのか汗なのか、精液なのか。


もう、興味がなかった。



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