私の中の眠れるワタシ

夜が深くなり、初めて彼ひとりだけのものになる私がいた。

……本当は、誰のものにもならないのだけど。

彼はワタシの揺らぎで絶えず満ち足りていた。
窓からさす、月の光で部屋は明るく照らされた。

「今日はいつもみたく、明るくして、しないんだね。」

「もう、十分明るいだろ。」

そう言って、また呼吸を荒げる。

部屋の中はモノトーンになり、私の白い肌にはそのどちらにも溶けきれない、グレーの跡が散らばってる。


テーブルの上には、さっきもらったオートリード。

−−消える事のない、炎を氷の中に宿したロウソク。


こんなところで、また見るなんて。


イチヤが毎月楽しみにしたあのセレモニーが、イチヤの知らないこの場所でまた始まっていた。


ロウソクを、増やす事も吹き消す必要もない。




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