私の中の眠れるワタシ
香水は、香調をめまぐるしく変化させ、トップノートから想像もつかないような、熱い、ぬくもりのあるサンダルウッドの重たい香りに変わっていた。
「俺、こっちの香りのほうが、スキ。」
「ワタシも……、あっ……」
私がセレモニーの始まりを見届けても。
イチヤを思い出しても。
ワタシは感じつづけた。
ソウタの指に、唇に。
……私は、氷。そしてワタシは炎だ。
ソウタに、それを見破られていたようで、余計に身体は感じ、夜が終わらない。
「もう、ダメだ、俺、イク……」
彼が眠りに落ちても、ワタシは月を見ている。
月の周りには、大きな雲が近付き、今にも覆い隠してしまいそうだった。
雲が月を隠したら。
あとはワタシの中の炎が、私を照らすだけ。
イツカ、コノ氷ヲ溶カシタイ。