私の中の眠れるワタシ


……この時に、時間を巻き戻せたらと思う。

ワタシは、知らなかった。

彼にこれから、どんな運命が待っているのか。

彼の彼女に、どんな悲劇が起こるのか。


ワタシは全く傷のつかない、一夜限りの楽しい夜だったと、素直に喜んでいた。

どちらにしても、ワタシはソウタのモノで、何処にも逃げないし、逃げられない。

自分が傷つかない事。

だからこそ、どうにもならない歪みが生まれて、ワタシでは直せない。

自分の悪意なく、誰かの運命を変える。その事に、ワタシがどれだけの罪を背負い、受け取りきれない罰を自分で与えるのか。


ワタシは、知らなかった。




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