私の中の眠れるワタシ
中学生になってすぐの頃、あまりよく知らない女子に、
「せっかく初めて同じクラスになったし、もっといっぱい話したい事あるから〜、交換日記しない??」
と言われ、
「私なんかでいいの〜?嬉しい!ありがとう!」
と、あまり考えずに調子よく引き受けた。
ところがそれからまた、更に何人かの女子に頼まれて、ついに二年生の春を迎える頃には、交換日記は……五冊。
一冊始めると、その様子を見て、また他の女子から頼まれる。
この繰り返しから、一年間で五冊まで増えてしまった。
携帯もまだ、中学生までは一般的に普及していない時だ。
女子は夢中になって今の気持ちを、交換日記や、手紙、教科書の端切れに書いては回していた。