私の中の眠れるワタシ

私は夜道をあてもなく、さまよった。

ソウタには、会いたくなかった。
会ったらつい、全部ぶちまけてしまいそうだったから。

今の孤独を少しでもわかってもらえそうなのは、ソウタだけかも。

でも、それすら有り得なかったと気付く。

彼と孤独を分かち合おうとしても、ただなすり付けるだけ。

彼が孤独な根拠を分からせてしまうだけだから。


ホントにワタシは、誰といても一人ぼっちだ。

イチヤもソウタも谷田さんも……セツナさんに対しても結局。

ワタシと関わり傷ついただけ。

なにも残せない、生み出す事ができない、壊してばかりのワタシ。

だけど、いつも。

なにも無くさずただ、変わらずにいられるのは、その台風の中心にいる、ワタシだけだった。



その日ワタシは、繁華街で声をかけられただけの男と寝た。

ただ、惰眠を貪り、死んでも死んでも生き返る、身体に一つも傷つかないゾンビやロボットみたいな自分と寝た。


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