私の中の眠れるワタシ


−−レイからもらった包みを開けた瞬間にも。

もう香りを感じた気がした。





これは、ZEN。
ずっと前から欲しかった。
伽羅と孟宗竹、杉苔の素材にフローラルの香りが、精神を落ち着かせて、心が洗われるように感じさせてくれる。

目を閉じ私は、竹林に佇み、深呼吸をした。

彼にとって、こんな安らぎを与えてあげられる私になりたい。

なれる?なりたい。

こんなに、自然に呼吸しているのに、胸の奥で脈打つこの鼓動は。

私の心臓とはまた別に動き出した音。

目を開けると、ニコニコと微笑む彼の瞳にぶつかって、照れ臭くなりすぐにビンを掌で包みこんだ。


私はこれを、以前店頭で試して、ずっと気になっていた。

だけど、つける自信がなかった。

真っ白い蕾のような形のビン。

いまの私に、似合うだろうか。



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