私の中の眠れるワタシ

そして私は。

今までに見たことがない、『新しい私』を見つける。

彼と知り合ってまだ、日は浅いかもしれない。

だけど、誰と深く知り合ってもたどり着けなかった、私の心の在りかを彼の中に感じた。


そして私は、彼と一つになった。

一人では成し得ない、二人のための儀式を。


それは、こんなに温かく、優しいものなのかと今更一つずつ、男性の身体から見つけて新しい発見をする。



−−いくらでも、奪っていい。その分だけ蜜から受け取っているよ。


やはり、彼はあどけなくそう言ったけど、私よりもずっと大人だった。


絶えず繰り返した、私とワタシの入れかわりも、感じなくなった。

いつも心が穏やかで、安らぎに満ちていた。


……ZENの香りのせいかもしれない。


私は彼と一緒に、無重力の中にいた。

香料の一部である、スペースシャトルの中で咲いたバラのように、私を形作る成分が無重力の中で変異を起こし、一度もみたことがない、私が出来上がっていた。



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