私の中の眠れるワタシ
もっと純粋に、親友というものについて考えたり、恋について悩んだりしてみたい。
その気持ちはいつからか、年相応の欲望から徐々に、『憧れ』に近いものになっていった。
普通の、誰しもが悩むような事に、私が悩む暇は、ない。
私は、ワタシと手を繋ぎながら、生きる方法を探す事が、今一番のテーマなのだから。
『クラスの皆とは違うんだ、私はある種、選ばれた人間なんだ』とさえ、思う。
こう思う事は、少し私を元気づけた。
母のギャンブルで、借金が膨れ上がっている事、父がうちに寄り付かなくなり、女性の家に入り浸りになってしまった事、真也が年齢より、わざと幼く振る舞い、気を引いて皆の手を焼かせる事。
全ては誰も、病気ではないから、病院に行っても治せない。
たとえ、病気だったとして、誰が指摘できるのだろう。
自分の事を、すぐに誰かのせいにしあう家族に。
では、私は……
勿論病気ではないだろう。家族の中で、一番まともなくらいだ。
見た目にも、表れない。
本当の気持ちも、表せなくなっていく。
誰にも、涙を見せる事ができないし、本音で話せる事も、ない。
クラスメートだって。
学校の先生すら、私を見抜けないだろう。
家庭より、居心地を良くするため、学校生活に私が命をかけている事なんて。
昨日できた腕の痣を隠すために、風邪と偽って真夏に長袖のブラウスを着て行く事だって。