私の中の眠れるワタシ
さっきまで調子が悪そうだった真也は、母の機嫌をとるように、おちゃらけて袋の中に手をいれる。
私はこの様子にまた、絶望した。
「ほらみろ、真也なんか、たいしたこともないのに!!大袈裟に電話なんかしてきやがって!
お前、私への嫌がらせは、ホント得意だな。
いい加減、中学生にもなって、たいした年も離れていない弟の面倒も見れないなんて、どうしようもねぇな!
お前、もう見てたら……
あー、いらつくから、寝ろ寝ろ!」
手で払うようにすると、私のほうに背を向けて、それからは、もう声をかけられる事はなかった。
真也が、無邪気に振る舞い、食べたい物を食べている姿が、殺したいほど憎くなっていく。
−−−オマエノセイナノニ!
ドウシテワタシバカリ……
ワタシノセイカ??
ワタシガワルイノカ?
ほっぺたの、裏側の肉が、噛み切れるのではないかというくらい。
そこを奥歯で噛んで、泣きそうになる悔しさをこらえる。
そんな時、ふと学校生活での自分を思い出す。
−−明日になれば。
私はクラス委員長のバッチが胸元に付いた制服に着替えて、大勢の女子の悩みに答える。
部活にいけば、下級生が尊敬の眼差しで私を見つめ、一挙一動見逃さず、目に焼き付けているのだから。