私の中の眠れるワタシ

家につくと、ほどなくして彼も帰ってきた。

「パチンコ負けたよ〜!ちくしょ〜!!」

いつもみたく、いくら負けたのかと彼をつっつく事もしなかった。

彼に指一本触れるコトすら、不潔に感じて。

口も、ききたくない。


なのに、どうしても。

−−今日、本当は何してたの?


我慢できなかった。




「蜜、今どこにいるの?」
「蜜、誰といたの?」
「蜜、なんで電話でないの?」


昔、自分に浴びせられた言葉達が、今になって私の中に蘇り、出口を探していた。


そしてその時、自分がしていた事。


それこそが、今日の答えでもある気がして……。


私は、泣き崩れた。




「誤解しないで!?なにもないよ?た、たしかに手、繋いじゃったけど、あれはむこうからしてきて、なんとなく振りほどけなくてね……」


でも、本当にそれだけなんだ。嘘じゃないよ?本当なんだって!!!


−−シンジタイ、シンジタイ。

シンジ、ラレ、ナイ。



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