私の中の眠れるワタシ

鼻歌まじりで、服をたたんでいく。

こんな時にハナウタ。

ワタシが私を欺き続けるその様子を、遠くから見つめる、今の私がいる。

つくづく、ツメタイ女だ。

もう、圭太郎は家にはいなかった。
アキの実家に、昨日行った。

ワタシは泣かない。
自分の選択だ。
何度も何度も、ワタシは私と相談したんだ。


まだ、家の中は何も変わっていないように見える。
……片付けが進んでいないせいだ。

ただ、部屋の四隅に、箱が積み重なっていただけ。

整理はされていなかった。

これは……

いちいち、圭太郎のまだ残された物を見ては手を止めた。
きりがない。やめよう。


だけど、私は。

どうしても、一枚だけ。
服を掴んだ。腕に星の模様がプリントされた服。

よく、これ着てた。
着せやすくて、汚れにくくて……

そうだ、これは。

いつか買い物で、隣の主婦にあてつけるように買った服。




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