私の中の眠れるワタシ

私は、隠すように急いでしまいこんだ。

誰もみていないのに。


ワタシの視線を感じたから。


軽蔑するような、冷たい眼差し。

−−覚悟ガ、キマラナイワネ。
未練ガマシイ。
アンタガ、決メタコトヨ。


堪えられずに、箱の底へ押し込んだ。

その時に、流れたんだ。

『哀愁のGIジョー』という歌が。


何気なく聞いたのに、私は変な汗が吹き出した。

片付けなんて、完全に中断した。

慌てて、歌詞カードをめくった。

六曲目。

……六曲目。

もどかしくページをめくった。





恋人同士の別れの歌で、最後に二人がよかった頃に見つけた、思い出のGIジョー人形が引越しの片付けをしている最中に、でてくる。

思い出のある人形だけど、一つしかないから、連れて行けないの。

二つに分ける事もできなくて。
だから、ごめんね、置いていくよ、さようなら。



そういう内容の歌だ。




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