私の中の眠れるワタシ
スチールのデスクの上には、灰皿と吸い殻。
部屋の中のもの、どれにも美月は言い訳しなかったが、私が灰皿を見た時だけ、
「それは、私じゃないわよ。誤解しないでね。」
と言って少し、悲しそうな表情をみせた。
「長崎さん、私が“キレイ"だと思ってるのよね?」
唐突に、彼女は切り出した。
「え……、あ、うん。キレイだし、正直、男の人の事、知ってる感じがしたの。」
「身体の事?そんなの、クラスの中に、他にもいるんじゃない。
……それに、私、キレイなんかじゃ、ないのよ。」
それだけ言うと、突然。
着ていたブラウスのボタンを外し、前をはだけさせた。
「ち、ちょっと!……急にどうしちゃったの?!」
でも、本当に驚いたのは、それからだった。
「みて。私……キレイじゃないでしょう?」
彼女の身体には、無数の赤い『痣』があった。
痣、というより……
ワタシが虐待でつらい夜に、自分で自分の腕を強く吸い付いた時偶然にも付いた、赤い内出血のような跡に似ていた。
「それ……、どうしたの?ケガじゃ、ないよね。」
私は自分で似たようなものを腕に付けた事があると話すと、無表情でその反応に続けた。