君との期待値
「本当に……わかってないんですね」
わかってない?
何のことだか全くわからない。
頭がハテナマークでいっぱいの私にイライラしたのか
少女が怒ったようにさらに強く私を睨みつけた。
「だから」
力がこもった声。
「そういうところがムカつくんですっ」
少女の腕が振り上げられる。
反射的に私は両目を瞑った。
殴られるかもしれない。
そんな状況は初めてで体が強張る。
本能で構えていた。
けれどいつまでたってもどこにも痛みはこない。
変だと思ったその時だった。
「手をあげるのはまずいんじゃね?」