君との期待値
諦めるしかないでしょ?
今までもそんなに勝負してたわけでもないけど。
「……じゃねえよ」
「え?」
「迷惑なんかじゃねえから。お前の気持ち。
今までも、多分これからも」
振り向く動きがゆっくりに見える。
赤羽くんの瞳が私の瞳と交わった。
逸らせなくって、胸の奥が波打つ。
それって……?
時間が止まったように、彼の次の言葉を待つ。
彼の手が私の頬に伸びてきて、
触れようとした……その時、
「ちょっとー。2人ともバーベキューの準備するから手伝ってよー」
琉花先生の声がした。
遠くから手を振る先生にハッと現実に引き戻される。
「は、はい。今いきます」
私は赤羽くんを置いて先生の所へ走り出した。
ドキドキドキドキ。
な、何!?今の。