君との期待値
この広い海を見て、誰のことを考えているのかな?
もしも、
昔の彼女を想っているんだとしたら私は……。
「私さあ……」
耳につく波の音が私の心を締めつける。
「赤羽くんのこと諦めるつもりないけど、
もし私の気持ちが迷惑になったら言ってね。
赤羽くんの邪魔になるようなことはしたくないから」
ぎゅっと右手で自分の左の手首を握りしめた。
かつては好きだった人だもん。
元カノの……香坂さんがまた、赤羽くんを好きになることはあると思う。
そしたらハッピーエンドな訳で、
悔しいけど赤羽くんの選んだ人だし嫌な人じゃなければ祝福する。
泣くかもしれないけど。
そしたら私の気持ちはただの迷惑でしかなくなってしまう。