君との期待値
「そうじゃなくて……。さっきも言ったとおり、不安なんです、夏弥は。
かっこいいし優しいし、頭もいい。
そんな完璧な拓真先輩には勝てないって」
静かな空気に言葉が響く。
「拓真先輩が本気になって、落ちない女はいねえって。
意外と弱気なんですよ」
赤羽くんがそんなこと……。
嬉しくて、頬が熱くなる。
でも……
小さな疑問が私の中にある。
「この前まで香坂さんが好きだったのに、急に私のこと好きとか言われても信じられないよ」
ハッとした。
そうか……。
私がすぐに答えられなかった理由。
これだったんだ。
香坂さんの代わりでつき合っても付き合ってくうちに私を好きになる、なんて自信が自分にはないから。
恐かったんだ。
やっぱ香坂が忘れらんねえ、って捨てられるのが。