君との期待値
ほんの一瞬の腕への衝撃から、今度は誰かに後ろからすっぽり抱きつかれた。
下駄箱の陰に隠れるように私はそのまま連れてかれる。
声を上げようと口を大きく開くと、
「しーっ。静かに」
っと、聞き慣れた声と大きな手が私の口を塞いだ。
この声……赤羽くんだ。
でもどうしてこんな状況に?
拓真は振り返った先にいるであろうと考えていると、
赤羽くんがそーっと何かをうかがうように後ろを覗いた。
「あっぶねえ」
彼がホッとしたように息をつく。
私はそんな赤羽くんの様子を気にしている場合ではなくて、
彼の腕の中から逃れようと必死にもがく。