君との期待値
この状況はヤバい。
下駄箱に来る人がみんなこっちをチラチラ見ながら通り過ぎていく。
恥ずかしいっ。
「あ、赤羽くん」
彼の名前を呼ぶことで、やっと私がもがいていることに気づいたのか腕の中から解放してくれた。
私は何故か息を切らしていて、整えようと上下に揺れる肩を落ち着かせる。
「な、なにすんのよ」
急いで彼から離れ、キッと睨みつける。
「だってお前今拓真先輩に話しかけようとしただろ」
「別にいいじゃん」
「それが今のはまずかったんだよ」
ちらっと彼が後ろを振り返って様子を伺う。
私も今度は一緒に覗き込んだ。