君との期待値
「俺より籠原の手伝いしてやってくれよ。袋から種こぼれてるし」
「えー、亜姫のー?」
あからさまに嫌そうな顔。
ふーん、なによ。
私だって赤羽くんの手伝いとかいらないし。
呼び捨てだし。
「私だって1人で大丈夫ですー」
フンッと鼻を鳴らし、落っこちた種を拾い始める。
1つ1つが小さくて、なかなか集まらない。
何かすごーく惨め。
後輩にバカにされて、失敗して。
挙げ句1人でちまちま作業。
スッと影がかかった。
「手伝う」
顔をあげる。
……拓真。