君との期待値

見たところ……誰も来ていない。



やった。



私の祈りが天に届いた。


万歳をしたい気分で飛び出す。



いかにも今までいたかのように椅子に腰掛ける。


すると、


「遅えよ」



っと、背後から低い声が聞こえた。



さっきまでの嬉しさが消え、笑顔が引きつる。



「……来てたんだ」



「可愛い後輩1人で部活やらせるなんて怖い先輩だな」



水道に繋いできたホースの口をいじりながら言う。



可愛い後輩って……誰だよ。



いつも先輩として見てないくせに、こういう時ばっか後輩の特権使って。


< 42 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop