君との期待値
見たところ……誰も来ていない。
やった。
私の祈りが天に届いた。
万歳をしたい気分で飛び出す。
いかにも今までいたかのように椅子に腰掛ける。
すると、
「遅えよ」
っと、背後から低い声が聞こえた。
さっきまでの嬉しさが消え、笑顔が引きつる。
「……来てたんだ」
「可愛い後輩1人で部活やらせるなんて怖い先輩だな」
水道に繋いできたホースの口をいじりながら言う。
可愛い後輩って……誰だよ。
いつも先輩として見てないくせに、こういう時ばっか後輩の特権使って。