君との期待値
「俺に見とれてたみたいだけど、惚れんなよ」
「なっ」
なんて少年はニヤニヤする。
「ば、バッカじゃない。あんたこそ私に惚れないでよね」
赤くなった頬が見えないように横を向く。
そんな私にハハッって笑う。
「それはない。亜姫は元カノとは正反対だから」
ズキッ。
心臓が締め付けられた。
どうして、傷つく必要があるのよ。
苦しくて、言葉を失う。
けど、ここで黙ったら好きって認めたみたいで必死に声を絞り出す。
「へーえ。赤羽くんの元カノかあ。私と正反対ってどんな子なんだろ」