君との期待値
てくてく前を歩く拓真についていく。
するといきなり少年が振り返った。
「籠原、俺と歩くの嫌んなった?」
ピタリと足を止めた彼は真剣な目で私を見る。
ギクッ。
バレてますか……。
目を泳がせていると、頭上からため息をつく声がした。
「美波から聞いたけど、頼まれたんだってな。俺の好きな人聞くって」
み、美波~。
気を利かせたのかもしんないけど危険だよ、その選択は。
呆れた拓真の顔が想像できる。
顔を上げられずに下を向いたまま。
ぐるぐるぐるぐる。
上手い言葉を探すけど、簡単には出てこない。