君との期待値
「俺も気になったから拓真先輩に聞いたら『別に』っとか言われた」
赤羽くんも気づくほどなんだ。
相当だよね。
「亜姫が気づかないうちに何かしたんじゃねえの」
赤羽くんがほうきの柄の先っぽで私の頭をつつく。
そのたびに私の頭が左右に揺れる。
ムカー。
人が真剣に話してるってのに。
「なにすんのよ」
やり返そうとほうきを振り上げて叩こうとした。
「きゃあっ」
しかし、
それは見事によけられて私は前のめりになりそのまま転んでしまった。
「ハハッ。バッカじゃねーの」
私を指差して笑い出す。