カワイイ娘のカ・ガ・ミ


 エスカレーターで上がった先はコンビニの横で、閑静な住宅街が広がっていた。


 高い建物がなく遠くまで見渡せる。


 私はケータイのナビ機能で画面に映し出した地図と、交差点ごとの番地の表示を見ながら歩を進めた。


 碁盤の升目のように区画されているので、【柳沼家】の表札を見つけるのにそれほど時間はかからなかった。


 新築の匂いがしそうな真新しくかわいらしい家がひしめく中で、柳沼家は異質で目立っていた。


 歪な石を積み重ねた2メートル以上の高さがある塀は、セキュリティーの視覚効果を狙っているようで、他人を寄せ付けない威圧感を発している。

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