Milk teA KiiS

「行っちゃったね」

ぽつんと静かに
響いた舞奈海の声

既に車は
見えなくなっている

行っちゃった

そんな現実すら
受け止めきれない
自分がどこかにいる

明日になればまた
うざいくらい
沙羅ちゃんと
あたしの名を呼ぶ
隼人に会える気がして
仕方ない

それさえもぅ
叶わない現実なのに

あたし
いつからこんなに
女々しくなったんだ

そんな自分に
苦笑しか出来ない

忘れよぅ

それは出来なくても
せめて遠い
思い出に変えて

大切な仲間として
その思い出を
抱えていれば良い

明日からは
隼人が来る前の
3人に戻るだけ

寂しいことなんか
変わることなんか
1つもない

はずなのに
泣き出したくて
仕方ない自分がいる

そんな自分が
まだ隼人を好きだと
叫んでいるようで
切なくなる

「おい、沙羅」

『?』

車が走って行った
方向から
視線を外せない
あたしに声をかけたのは

舞奈海じゃなくて
透悟だった

泣きたい気持ちを
抑え透悟を見れば
何故か差し出された
1通の分厚い封筒

『なにコレ』

「隼人から」

『...は?』

「あいつが行ったら
お前に渡して
欲しいって
頼まれたから」

半ば強引に
手渡された封筒は
隼人には似合わない
真っ白な
綺麗な物だった

「読んでみたら?」

舞奈海に促され
開いた封筒に
並んだ綺麗とは
言えない隼人の字

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