スリー・イヤーズ・カタルシス


「こんな顔で……よろしければ……」



おれは



体育座りをしたまま



からだを彼女の方へ向けた。



昨日おれが買ってきたスウェットを着た



ロングヘアーの彼女がそこにいた。



目の回りは赤くて



化粧はすっかり



落ちてしまっていたけど



おれは美しさに見とれてしまった。



きっと



ついこのあいだまで



少女だったのだろう。



すこしあどけなさを残した表情が



じっとこちらを見ていた。



そして



冷たいコンクリートの上に



きちんと正座をした。



その動作に



おれも思わずつられて正座をした。



ひざの骨が



コンクリートに当たって痛かった。



彼女は



「助けてくれて、ありがとうございます」



と言って



きちんとお辞儀をした。



やっぱりおれもつられて



お辞儀をしてしまう。



ひざの前に



ぴしっと揃えられた



彼女の指がとてもきれいだった。






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