ストロング・マン


いつも感情をそこまで顔に出さないこともあって、今すごく真剣な顔をしている修也が何を言いたいのか、全く分からない。


「郁さ、高校の時から付き合い方変わってなくね?
高校んときも、本気になれないならやめたらって忠告してやってたのに。進歩ねえ。」


「そ、それは言われなくても分かってる。
付き合うときはちゃんと好きで付き合ってるのよ?
でも、しょうがないじゃない。なんでか分からないけれど、言いたいことがあってもきちんと相手に伝えられないし、おかげで不満が募るだけだし。言えない私が悪いことも分かるから自己嫌悪で無限ループで。そのせいであまり恋人が優先順位高く出来ないのよ。」


ここまで本音を暴露するつもりなんてなかったのに。
でもダメ出しをされて、思わず今まで溜まりに溜まっていた自分の不満をさらけ出していた。


「自分が悪いって分かっているの。
こういう付き合いが合う相手を探すべきとか、
・・・恋愛やめるべき、とか。」


自分で言っていてすごく悲しくなる。
なんでこんなに上手く付き合うことが出来ないんだろう。
そんなネガティブ思考がグルグルとめぐっていると、ふと、頭の上に温かいものが降りてきた。


不思議に思って視線をあげてみると、困った顔をしながら微笑んでいる修也が私の頭の上に優しく手を置いていた。



< 24 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop