ストロング・マン



「お待たせ。乗って。」


「ありがとう。お願いします。」


乗りなれた尚の車に乗って出発した。
今日は会う時間が遅かったから、ちょっぴり遠出してご飯でも食べて帰ろうということになった。


車内には私のお気に入りのバンドの曲が流れている。私が好きだと言ったら借りてきて聞いてくれたのだ。
こういうところも優しい部分の一つ。


「三直体制どうだった?」


「もうすっごく大変だった。しかも1回あたしがやらかしちゃってさ。」


「え!それは大変だったなあ・・・」


「そうなんだよねー。」


尚はこういうときは突っ込んで聞いてこない。
私の仕事の愚痴やつまらないことも、うんうんって聞いてくれる。けど、それで終わり。
そんなところも優しいからなんだろうなって思っていたんけど。
私たち、こういうところでお互いの本音が言ったり出来なくてだめなのかもしれない。


少しだけど、尚に会ったことでいい面も悪い面も気づくことが出来た。
今まで私に足りてなかったのはこれなのかもしれない。


落ち着いて、じっくり考えること。


今日は尚とのデート、楽しめるといいな。


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