カケヒキ
郡さんと呼んで三ヶ月したある日、唯が死んだ。

唯が死んだ、死んだ、死んだ。


自殺。自分の家で睡眠薬沢山飲んだんだって。


前日にアドレスから消した、唯からのメールがあった。
受信拒否にしなかったのはもしかしたら唯からのメールを待っていたのかもしれない。

元は友達だったし、それなりの思い入れだってある。



送信者 唯
タイトル  無題
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助けて加奈。

-end-
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たったその一言だけだった。
唯の単なる脅しかと思って、返信しなかった。


思えばコレは唯の最終警告だったのかもしれない。
せいいっぱいのSOS。
もし私が返信すれば未来は変わっていたのかもしれない。

未来は変わっていたのかもしれない。
変わっていたのかも、しれない。

生きたかもしれない。
唯が今、生きていたかもしれないんだ。


世界から音が無くなって光が無くなって、「無」になった。一瞬で真っ暗で静かな世界になった。

涙さえも出ない。冷酷なのかショックなのか。


お葬式の時唯の両親が泣き崩れた。
親戚の人達も泣いていた。

唯は愛されていた。
きっと私なんかより、ずっと愛されていた。

だって唯の為にこんなに泣いている。


私は流石にあの人達も罪悪感でいっぱいだろう、とあの人達を見た。

驚いた 信じられなかった 哀しかった 落胆した

笑ってるよ、あの人達。

あの人達は悪魔だ。
人を死なせて笑うなんて私に出来ない。

喜べないよ。

幾千の言葉でも謝りきれない言い尽くせない。
私達のしたことは凄く取り返しのつかないことで

この世界から見たらほんの些細な出来事だろうけど
私達は一瞬でもこの世界に影響させた過ちを犯した。



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