平々凡々なストーカーです。
どしゃ降りの雨はやや弱まっていたが傘ナシで帰れるほどじゃない。

空崎さんに貸してもらった折りたたみ傘を広げて歩き出そうとする。

そして、何の気なしに横を振り向く。


オトがとまった。

俺と僅かに離れた玄関前に空を憂鬱そうに見上げている


空崎さんがいた。


昨日おろし立ての半そでの制服から出る綺麗な腕を寒そうにさすり。

くりくりした目で雨がやんでほしいかのように祈っている。

「・・・・・・・・・・ぁ」

どうして?

傘は?

思考しているうちに俺の身体は勝手に空崎さんに向いていた。

視線を下にむけた空崎さんは俺に気づかない。

手が震えた。


「・・・・・そ、ら崎さん」

「えっ」

話しかけてやっと気がついた。

「帰らないの?」

「うん、傘忘れちゃって・・・」

「折りたたみとか・・・っあ」

そうか。俺が今使っている傘。

これは空崎さんの非常用の傘か。それを俺が使っているから。

おのずと空崎さんの傘はなくなる・・・・
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