好きだから、別れよう。



「…あの…私まだ、返事もらってないです……」



握られた手を、少しだけ握り返してみた。


マサキさんの大きな手が、優しく包み込んでくれる。


「ん?返事?そんなの…わかりきってるでしょ?」



マサキさんは、私の顔を覗き込んだ。



「…団扇のためだけに、好きでもない子のために…
わざわざ来ると思う?」




……


ぇ……

そ、それって………っ





「…ぇ…あのっ、マサキさんも私のこと…好き…ってことですか……?」







マサキさんはニッコリ笑って、車のルームランプをつけた。






「こういうことは、ちゃんと相手の目を見て言わなきゃね」






ルームランプのオレンジ色の光に照らされて、マサキさんの顔は少し赤く染まって見えた。



マサキさんの真剣な目が、真っ直ぐに私に向かっている。






「アヤ…」









…初めて、呼び捨てにされた…。










「アヤ、好きだよ。
俺と……付き合ってください」











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