好きだから、別れよう。



身体が震えてた。



マサキさんの顔を見るのが怖くて、ぎゅっと目を閉じて下を向いていた。






……?


膝の上で握り締めていた手に、何かが触れた。



目を開けると、ウサギの限定キティちゃん。



「はいっ、ご褒美。」



マサキさんは優しい笑顔を私に向けた。



「な…なんのご褒美ですか?」



yesかnoの返事が来ると思っていた私は、拍子抜けした声を出した。



「ん?素直になったご褒美。」



マサキさんが…私の手を握った。



「あ…あのっ、私、手、汗ばんでっ…」



「あはは、緊張しちゃったの?かわいいね」



マサキさんは私の反応を楽しむかのように、手を握る力を強める。



今日一日で、いろんなマサキさんを見れた気がする。

謝るとこ、大人っぽい運転の仕種、少年のようなあどけない笑顔。


あと、ちょっとイジワルなところも。



知れば知るほど、もっともっとマサキさんを知りたくなってくる。






…好き。



本当に、マサキさんが、好き。







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