先生
卒業式も終わり、教室で担任の話を聞いて、卒業証書をもらい、三年生は外へ出た。
彩花たちの学校は毎年、学校の前の坂の両端に在校生が並んで、そこを三年生が通るという、恒例の送り出しがある。
玄関から外に出ると、もうそこには列ができていて、拍手が溢れていた。
彩花は由香里、佐恵子、百果と、泣きながら歩いていく。
卒業することを惜しむようにゆっくりと。
途中、彩花と佐恵子と百果はバレー部の後輩から花束と手紙をもらった。
泣き虫な彩花はもう涙が止まらなくて大泣き。

卒業なんかしたくない。
何度も口にした。
もっとみんなといたい。
何度願っただろう。
卒業に近づくにつれ感じた。
想像以上に、あたしは学校が好きだった。
みんなが好きだった。
昔は早く卒業したい。
そればかり言ってた。
学校なんかキライだった。
でも、本当は大好きだった。



大泣きしている彩花をさらに泣かすように、列の最後まで歩いていくと、西本先生がたっていた。
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