ホワイトデーの復讐



ホントに今年のバレンタインデーには、いろんなことがあった。



確かに彰に唇を奪われたんだけど……それは病室で。


病室にいる理由。それは…あたしが食中毒になったから。


彰の部屋で押し倒されて、唇が重なりそうになるほんの一瞬前。


あたしのお腹は暴れだした。


彰がもらったバレンタインチョコの一つをつまみ食いしたら、それが“あたった”んだ。


あれ、ほんと材料と作り方を教えてほしいもんだよ。


チョコ食って3日入院なんて、武勇伝だよ。



「なぁ。そろそろ俺に惚れた?」

『っ……』



普段はあまり見せない、甘くて優しい笑顔であたしを見つめる彰。


ズルい。そんな顔で見つめられちゃ、誰だって頷いちゃうよ……



「あ、ヤバイ、その顔。襲っていい?」

『なっ…む、無理!』



こうやってすぐそっちに走るから。あたしは素直になれないんだっつの!



『ってか!あんた話あるって!言ってたじゃん!?』



一生懸命話をそらした。



「ちっ」



…なんで舌打ち!?



「この女」



携帯をピコピコと操作し、一枚の画像をあたしに見せた。



< 7 / 45 >

この作品をシェア

pagetop