ホワイトデーの復讐
ホントに今年のバレンタインデーには、いろんなことがあった。
確かに彰に唇を奪われたんだけど……それは病室で。
病室にいる理由。それは…あたしが食中毒になったから。
彰の部屋で押し倒されて、唇が重なりそうになるほんの一瞬前。
あたしのお腹は暴れだした。
彰がもらったバレンタインチョコの一つをつまみ食いしたら、それが“あたった”んだ。
あれ、ほんと材料と作り方を教えてほしいもんだよ。
チョコ食って3日入院なんて、武勇伝だよ。
「なぁ。そろそろ俺に惚れた?」
『っ……』
普段はあまり見せない、甘くて優しい笑顔であたしを見つめる彰。
ズルい。そんな顔で見つめられちゃ、誰だって頷いちゃうよ……
「あ、ヤバイ、その顔。襲っていい?」
『なっ…む、無理!』
こうやってすぐそっちに走るから。あたしは素直になれないんだっつの!
『ってか!あんた話あるって!言ってたじゃん!?』
一生懸命話をそらした。
「ちっ」
…なんで舌打ち!?
「この女」
携帯をピコピコと操作し、一枚の画像をあたしに見せた。