恋するシンデレラ






「ねー、メイク薄いー?」

「あ、いーんじゃない?」


「なー、マイクどこ?」

「そこに置いてあるー。」







慌ただしくなる楽屋。

とはいっても、楽屋として作られた部屋ではないわけで。



みんなドレッサー用の鏡を各自用意して、全身用の鏡はスタッフさんが買ってきてくれた。



衣装を着て、楽屋着と呼ばれる前がチャックやボタンで開く上着を羽織っていた。





なぜ、楽屋着を着るかというと。


メイク終わってから衣装を着ると汚れてしまうしメイクも崩れる。

逆に衣装を着てからでもファンデーション等を落としてしまったら、完全にアウト。




だからメイクの崩れない前開きの上着を羽織り、下は膝掛けをして、

衣装を汚さないようにする。









皆が慌ただしく動く中、私は早々と準備を終わらせて椅子に座っていた。


ボロボロの服の上から上着を羽織っていて。


それはまるで、みすぼらしい自分を隠しているように見えて。


思わず、フッと笑ってしまった。




沢山書き込まれた台本を広げ日記を見るように読み返す。




この約1ヶ月、本当に色んな事があった。


凄くヤな奴に出逢って。

無性にムカついて。


でも、少しずついい所が見えてきて。

そのうち、悪い所なんかなくなってきて。

そんな時、あいつが優ちゃんだってことを初めて知ったんだよね。



あの時のあいつの顔、今でも胸が締め付けられる。











春日さんが現れたり、嫌がらせがあったり。


本当に大変だった。





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