グリーン・ロード
第二幕

ここは・・・

『・・・うっ・・・こ・・ここは??』


何かがオレの
額に落ちて目が覚める。


そっと辺りを見渡すと、
じっとりとした苔が覆い、
ひび割れ黒ずんだ
緑のタイルに囲まれた一室。


部屋全体が
”濃い緑”
一色だ。


天井には、
同じタイルに
据え付けられた
一本の蛍光灯があった。

それは、煤(スス)汚れ
今にも消えそうに
点滅しながら光っている。

よく見てみると、
タイルからは
若干黄色がかった
なんの液体か解らない物が、
隙間から染み出て
垂れ落ちていた。




『これが・・・??』



あわてて、顔に付いた
液体を右腕の袖で拭う。



『・・・しかし
・・・どこだ??ここは。』



ここがどこだかわからない。


しかし、
以前もここに来た
記憶が僕にはあった。


だが、自分で来た覚えも、
どうやって来たかも
覚えていない・・・。

しかし、
なぜかここに来た
記憶は微かにあった。





--どこからか、
生暖かいような
冷たい空気が
頬を掠(かす)める。

辺りをもう一度見直すと
1本の通路が目にとまった。

同じ汚い緑色のタイル張りだ。

オレは、
なぜか引き付けられるように
その通路へと向かう。




カツーーン




カツーーーン




妙に足音が響き渡る。



どこかの地下か
なにかにいるのだろうか・・・。
やたらと、音が響く。




通路の先は暗くてよく見えない。

距離にしてどれくらいあるだろう。

数百メートルはあるだろうか・・・。



(・・・行ってみるか。)



ここにいても仕方がないだろう。

進んでみることにする。





< 16 / 32 >

この作品をシェア

pagetop