この想いを君に…
「女遍歴か?
…くだらない。そんなの」

吐き捨てるように祥太郎が言う。

お願いだから…

そんな風に言わないで。

声に出して言いたかったけど。

言える雰囲気ではなかった。

「噂では、祥太郎に触れただけで妊娠するとか言われてるんだよ?」

言えたのは、こんな事くらい。

祥太郎は噴き出して

「そんなバカな事、誰が言うの?
握手した人、みんな俺の子供を妊娠するわけ?」

本当にくだらない、と祥太郎は呟いた。

そして、窓の外に広がる漆黒を見つめていた。
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