そして海の思い出を胸に
「真佐志。美雪、足がつったらしいんだ。俺は大丈夫だから、美雪を乗せてやってくれ……頼む」
「OK……ほら、美雪」
そう言って出したお兄ちゃんの手を、私は素直に握った。
少し大きめのモーターボートだったのと、まだ足の痛みがあった為に、中々うまく上がれない。
時間が掛かって、なんとか無事に乗る事が出来た。
「はぁー」
僚二は私が乗ったのを見届けてから安堵のため息を漏らし、ホッ、とした笑顔をする。