そして海の思い出を胸に
「……き……ゆき……美雪?」
耳から頭の中にそんな響きが伝わって来ると、真っ暗だった視界が少しずつ明るくなってきた。
「……お、兄、ちゃん?」
ぼんやりとした視界に、まず、お兄ちゃんが見えて、私はそう呟いた。
でも、視界がハッキリして、何人かの見知らぬ人達に囲まれていた事に気付く。
私は砂浜に横になっていたようだった。
「美雪っ!」
お兄ちゃんが半分泣いたような表情で、私の事を抱きしめる。