『短編』思惑〜オモワク〜
「聡から時々メールが来るの。自分も辛いはずなのに……わたしのことを気遣ってくれてる」
「……優しいものね、聡さんは」
「わたし、会社辞めるつもりよ。これ以上、聡に甘えていられないから」
「……それがいいとわたしも思うわ。きっと敦子を見る度、聡さんは結衣ちゃんを思い出すわ」
敦子は震える手で携帯電話を握り締めた。
「だからお願い京香。本当のことを教えて?あの日、結衣ちゃんは……」
「そうね、『本当に死ぬ』つもりはなかったと思うわ……」
京香はゆっくりと話し出した。
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