『短編』思惑〜オモワク〜
「前回、睡眠薬を飲んで自殺を図った時もそうよ。
『薬を少なめに飲んで、わたしが助けに行く』
そんな話を結衣ちゃんと計画したわ」
「どうして、そんなこと……」
「そうでもしないと、敦子は聡さんを離さない。だって敦子、頭がいいもの」
「だけど……本当に大切なのは聡の気持ちでしょう?」
「聡さんは結衣ちゃんを愛していた。聡さんの気持ちを大切にしなかったのは敦子のほうよ」
「京香……」
「敦子、わたしね、あなたが嫌いだわ」
京香は自分を真っ直ぐに見る敦子から目を反らせて言った。
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